新しい1年が始まりました🐰🎍
獣医師の日野です🍡
皆様と愛するペットちゃんが、今年も健やかに、実りある素敵な1年を過ごせますよう、心よりお祈り申し上げます。
昨年、私たちの病院では
分院として長津田院の開院🏥
整形外科疾患の治療、麻酔外科外来、歯科疾患の相談強化📝
病気に対する治療のアップデート❤️🩹
ドックライフスクールの開校🏫
武相エリアにて犬の社会化啓発
オゾン水や炭酸泉を使用した皮膚疾患へのフォローアップ♨️
シャンプー剤の再考
デザイン部の活躍🎨
SNS、インターネットなどを活用した、広告事業への取り組み💡
など、新しいことにも積極的に挑戦し、1つのチームとしてスタッフ一同、協力しながら取り組んで参りました。
各スタッフが強い意志を持ち
「自分達にできること」
を周囲の方々や動物たちに還元していくことで
より人と動物が過ごしやすい世界をつくっていく地球社会の一員というスケールの中
責任を持って取り組んでおります。
私たちが生き生きと「お仕事」ができているのも
周囲の方々のご理解やご協力があってのことと日々実感しており
このような素敵なご縁をいただいていること
そして恵まれた環境であることに感謝申し上げます。
これからも武相動物病院は
動物も人もみんながHappy✨でいられるために
邁進し続けて参りたいと思いますので
本年も引き続き、どうぞ宜しく申し上げます。
さて題名は、以前のブログに引き続き、救急疾患part.3となりました🤧
長くなりすぎてしまいましたね😪
普段の診察でも同様ですが、病気の知識がない方でも分かりやすいように表現を意識しているので、飽きずに最後までお付き合いいただけたら嬉しいです‼️
5位 腹腔内出血
☎️夜間救急です、どうなさいましたか?
👦🏻さっきまで元気だったのに、急にぐったりして立てなくなりました。
☎️おいくつですか?倒れる前に何らかのアクシンデントはありましたか?持病はありますか?
👦🏻12歳のトイプードルです。肝臓に腫瘍のようなものがあると以前言われたことがあります。
この電話でのやり取り、すでに私たちの頭の中では鑑別疾患リストが浮かびます。
急に倒れてしまう病態はいくつかありますが、持病として"腫瘍"が聴取された場合には、真っ先に
腫瘍の破裂に伴う腹腔内出血🩸
が疑われるため、運ばれてすぐに私たちが行う検査は、腹部エコーです。
これはFAST(迅速簡易超音波検査法)といい、主に人で活用されている検査法で、外傷患者や循環(血流)異常が疑われる際に行います。
普段、超音波は精査を目的として行う検査ですが、こちらの検査では無駄な探索をせず、瞬時に判断を行うことができ、ショック状態の鑑別も行うことができるための、急性期の疾患には必須検査法です。
とはいえ、人医療とは異なり、あまり獣医療では浸透しておらず、そもそも「救急」という分野は比較的新しい診療科目なので、知らないという獣医さんも中にはいるかもしれません🤔
以前もお話しましたが、救急は
検査をして病気を探し、その後治療する
よりも
迅速に状態を把握し、素早く治療に取りかかることができるか
が重要です。
循環(血流)状態を素早く把握した後
✔️止血(どの部位から出血が疑われるか)
✔️循環不全に対する治療
をすぐに考えます。
止血がすぐに可能な場合は緊急手術にて対応し、輸血なども検討していきますが、残念ながら止血が難しい場合もあり、血が止まらなければ、そのまま亡くなってしまう事もあります。
手術が難しい状況では、止血剤を投与しつつ、自然に血が止まるのを待つのみです。
腹腔内出血は、腹腔内の腫瘍性疾患を患った全ての動物に起こりうる状態なので、この病気について知っておくためには
🔬定期的に検査を受け、動物の身体を把握しておくこと
🔬摘出ができる臓器であれば、破裂前に摘出し、確定診断を行う
だと思います。
突然の出来事に混乱してしまう精神状態と、すでに病気の知識もついた上で覚悟を決めるのでは、全く違います。
また、状態が悪化しているにも関わらず、麻酔をかけた緊急手術が必要になってしまう状況より、一般状態が良く落ち着いて手術を行う方が、より安定した手術が可能です。
止血が難しい状況の場合は、止血剤投与後、ご自宅にお返しすることもありました。
もし血が止まらなければ、一緒に過ごすことができる最後の時間というかもしれないので、そのご提案をしなければならない現状に、私も何度も心苦しい気持ちで、お話しました。
特に高齢の動物に多い病態のため、シニア層の子たちは注意しましょう⚠️
4位 敗血症
敗血症とは、簡単に言うと
細菌による、全身の感染性疾患🦠 です
敗血症になってしまうと、場合によっては多臓器不全、ショック(死の一歩手前)に至ります
原因として
🗯️尿路感染症
(感染性膀胱炎→腎盂腎炎など)
🗯️消化管のバクテリアルトランスローケーション
(消化管粘膜損傷や全身の免疫力低下などにより、腸内細菌が血液に移行する)
🗯️深在性皮膚炎
などが挙げられます
お気づきですか…❓
誰にでも起こり得るんです…😰
動物病院を受診する際
・尿中に菌が認められた
・下痢や嘔吐が激しい
・炎症が悪化し、皮膚が腫れて膿がでている
などを理由に、受診されている方は多くいらっしゃると思います。
これらの原因は、膀胱炎や、慢性腸症、アトピーやアレルギー疾患など様々ですが、病態に関わらず、なんらかの悪化要素(特に免疫力低下)が加わると、敗血症となってしまうんです。
敗血症を疑う時の特徴的所見は
🩸血液検査
にて確認しますが、すでに敗血症となり、多臓器不全にまで至ると、様々な臓器の機能低下が起こり、責任病変となる感染巣が特定できないケースもあります。
敗血症を予防するための大切なポイントは
早期治療です💉
⚠️局所感染が疑われた際は、全身に炎症が波及する前に、抗菌薬による治療を行う
敗血症に罹患してしまった動物は沢山いましたが、多臓器不全、もしくはショックにまで至ると、正直、救うことはとても困難で、生きて退院できたのは、ほんの数症例でした。
こちらも、シニアの動物さんたちは、様々な体調の悪化が確認された場合は、すぐに病院を受診しましょう💨
最終回のPart.4は、いよいよTOP3です😱
あくまで個人的な意見ですが、正直、救急疾患は、治療次第で生存できるかどうかが、変わります。
ただ、病態があまりにも進行した場合は、残念ながら治療が追いつかずに、亡くなってしまうこともあります。
やはり大切なことは、
飼い主様自身が、愛するペットさんの異変に気づき、ご自宅で様子を見てしまわずに、動物病院に連れて行けるかどうか
だと思っています。
皆様が、ずっと一緒に、安心して暮らしていけるために、救急疾患について発信し、そういえばこの人、こんなこと言ってたなぁ、と、思い出していただけたら、救急を追求してきた一獣医師として、とても嬉しいです✨
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